頼光が一人でいるところに、渡辺綱に案内されて、別当ががさつな声を張り上げながら入ってくる。
別当「おう、おう、兵どもが見事な戦利品の山。飛ぶ鳥落す関白殿ですら無視できぬ勢いの、さすが頼光殿が部屋じゃ」
別当、勝手に頼光の正面の席に座って杯を取り、慌てて酒の入った器を持って杯に酒を注ぐ綱に、
別当「他の四天王は、今宵はいずこじゃ、綱殿?」
綱「それぞれ、所用でちと都を離れていますが」
別当「ふん、ふん、頼光殿の仕事ぶりがお盛んじゃから、四天王も気の毒なことじゃ。この間も、誰かは忘れてしもうたが、なかなかゆっくり都にいることもできぬと、わしに歎いとった」
頼光「別当殿、夜分、検非違使を連れてのご訪問、ご用件は何じゃ? 酒を飲みに参られたのなら、このままおつき合いしてもよいと思うていたが」
別当、綱の方を気にするが、頼光も綱も無視するので開き直ったように、
別当「待たせておる検非違使は、勝手について来おったのじゃ・・・さ、砂金で、千両ほど用意だていただきたい」
頼光「ほう、千両、大金ですな?」
別当「何の、何の、宮仕えの貧乏別当に過ぎぬわしにとっては大金なれど、頼光殿にとっては、金を産むという土蜘蛛の雲古ほどのもの」
頼光「金を産む、土蜘蛛?」
別当「そうじゃ、関白殿もいとう気にしておられた」
頼光「綱、どうじゃ、別当殿の申し入れ?」
綱「勿論、御用だてするのが筋かと」
別当「おお、綱殿は分かりが早い」
頼光「とは言うても、別当殿、千両は重うござる。おって、綱に届けさせることに致しましょう」
別当「そうか、さすがは頼光殿、これで肩の荷が下りたというもの」
綱、上機嫌の別当の杯に酒を注ぐ。
posted by 映画プロデューサー at 20:42|
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