2009年06月17日

ケータイ用動画のためのシナリオ

ケータイのメール機能を利用して書いたシナリオを読んでください。

ブログ記事としては少し長いかも知れないけど。

”実験”というカテゴリーを作って最初の記事です。

お暇な方はどうぞ。


完全自動巻防水腕時計


○漁港の駐車場(夜)
一台のクルマが止めてあり、中には石野拓郎(30歳)が車中泊よろしく眠っている。
その時、コンソールボックスの上に置いてあるケータイのイルミネーションが点滅し始め、色っぽい女性の声でモーニングコールがかかる。
拓郎がやおら目をさまし、ケータイを手に取ってモーニングコールを止めると素早く起き上がり、釣りの身支度を始める。
上着を羽織り、磯用の長靴を履き、クルマの外に出て後部ドアを開けて、ロッドケース、釣り道具が入ったザック、クーラーボックスなどを取り出す。

○近くのコンビニ
拓郎が、缶コーヒー、牛乳、サンドイッチ、弁当などの食料を買う。

○同表から漁港
拓郎が釣り道具一式と食料が入った袋を抱え、缶コーヒーを飲みながら船留まりの方へ歩いて来る。
すでに漁船のエンジンはかかっており、数人の釣り客が荷物を積み込んでいる。
拓郎が船長に手をふって、大きな声で挨拶をする。
拓郎「また、お世話になります」
船長「今日もアンドロメーダかね」
拓郎「はい、お願いします」
船長「今日は潮がよかで、デケーの上げたらよか」
拓郎「海、見てるだけでいいですよ」
船長「うん、それがよか。欲かいたら、釣れるモンも、釣れんようになる」
拓郎が笑いながら乗り込む。

○海上を走る漁船

○同・甲板
拓郎が牛乳とサンドイッチの朝食を食べながら、夜明け前の海を見ている。

○ある磯
拓郎を乗せた漁船が、他の釣り客を船首から磯に降ろし、バックで磯を離れる。
その間、拓郎はワイヤーをニッパーで切ったりしながら、器用にイシダイ用の仕掛けを作っている。

○アンドロメーダの磯
走る漁船の正面に、いかにも大物が潜んでいるような磯が迫って来る。
拓郎が釣り道具一式を抱えて、船首に立っている。
海は深く、潮の流れが早い。
漁船が磯に着くと、拓郎がひらりと飛び降り、向き直って船長の方に手を上げる。
漁船が素早く磯を離れ、向きを変えて去っていく。

○海中
ドン深の光景。
潮の流れが早く、海中の壁面にへばりつく海藻と小魚たち。

○釣り場
拓郎が釣り座にピトンを打ち込んで竿置きを設置し、撒き餌をして、仕掛けの針に餌を針につけると、竿を持って立ち上がり、海に向かって仕掛けを放り込む。
潮が早く流れ、すぐにミチイトが張る。
拓郎が、竿を煽って仕掛けを落ち着かせると、座ってから煙草を取り出し、ライターで火をつけ、美味そうに吸い始める。

○海の光景
なぶら、鳥山、航行する船舶など。

○元の釣り場
竿が海中に引き込まれるように曲がり、拓郎の目が竿先を注視している。
竿先がなおもグッグーッと海中に引き込まれた時、拓郎が竿を掴んでのけぞるようにアワセを入れる。
強烈な引き…?
拓郎の顔に落胆がよぎる。
拓郎が、竿を力一杯煽るが、びくともしない。
拓郎「ちぇっ!…地球を釣っちまった」
拓郎は、リールのレバーを解放してミチイトを弛めると、ミチイトを腕に巻き付け、後ろ向きになって肩に乗せて、引きずり始める。
最初は強い抵抗があってびくともしないが、拓郎がまるで綱を引くようにミチイトを引くと、ガクッと何かが抜けるような感触があって、重いが引きずることができるようになる。
拓郎が竿を握り直し、リールを巻き始める。
強い抵抗は持続するが、次第にミチイトは巻き取られていく。
海中から大きな藻くずが上がってくる。
拓郎がハアハア息をつきながらリールを巻き海面を覗き込むと、藻くずの中にキラリと光るものが見える。
それは、太陽光を反射して、キラキラと輝いている。
拓郎が竿を置き、再びミチイトを手に取り、ヨイショヨイショと引っ張り上げる。
錘と針が絡み付いた大きな藻くずが磯の上に引き上げられる。
拓郎がキラキラと輝いていたモノを藻くずの中から取り出す。
―――蛎殻が付着した腕時計。
拓郎が手に取ると、「カチ、カチ、カチ…」と時を刻み、秒針が正確に回っている。
その拓郎の顔。

○ある部屋
拓郎と葉子がベッドでむつみ合っている。

○元の釣り場
拓郎が釣りを続けている。
拓郎の左腕には、釣り上げた腕時計がはめてあり、右手の人差し指で蛎殻のクズをこそいだりする。

○ある喫茶店(回想)
拓郎と葉子がテーブルに向かい合って座っている。
拓郎がテーブルの上の包みを開けると、腕時計(今釣り上げたもの)が小箱に入っている。拓郎が葉子を見て、
拓郎「これを、オレに?」
葉子「××社の完全自動巻防水腕時計よ。欲しいって、言ってたでしょ」
拓郎「これ、どうしたの?」
葉子「どうたのって、買ったに決まってるじゃない」
拓郎「…」
葉子「嬉しくないの?」
拓郎「嬉しいけど…」
葉子「何よ…時計プレゼントしたからって、あたし結婚してなんて言わないよ」
拓郎「…ありがとう」
葉子「どういたしまして」

○元の釣り場
拓郎が竿先をじっと見ていると、イシダイらしき当たりがあり、拓郎の顔が緊張した表情に変わる。
しばらくあって、拓郎が竿を持って、大きく合わせる。
確かな手応えがあり、すぐに強烈な引き込みが始まる。
拓郎がイシダイとのやり取りの末、タモを使わず、強引に抜き上げる。
立派な型のイシダイが磯の上で跳ねる。
拓郎がイシダイを掴まえ、針を外す。

○回想(同じ釣り場)
拓郎がイシダイを釣っていると、ケータイのバイブ音が鳴って、間もなく留守電に変わる。
声「葉子です。今晩、ゴハン食べませんか。最近、会ってないし…連絡待ってま〜す」
留守電が切れる。
拓郎「ゴハンの後が怖い・・・」
と言って、左腕の腕時計を外し、右手で持って目の前でプラプラさせながらつぶやく。
拓郎「時計は彼女とオレをつなぎとめるカスガイだった。オレは時計で買われた売春男で、いつまでも奉仕させられている・・・」
とその時、竿先がグッグーッと曲がり、拓郎が慌てて竿に両手を持って行くと、はずみで腕時計が海に落下してしまう。
拓郎が海の中を覗き込もうとすると、強烈な引き込みがあり、拓郎はその対応に追われる。
その間に、腕時計はゆらゆらと揺れながら海中深く沈んでいく。
拓郎が必死に引き込みに耐えているとライントラブルが発生し(ミチイトが切れ)、その反動で拓郎の体は後ろに倒れ、そのまま昏倒する。

○元の釣り場
帰り仕度をした拓郎が、迎えに来た漁船に乗り込む。

○海上を走る漁船の甲板
拓郎がケータイで葉子に電話をする。
呼び出し音が鳴り、葉子の声が聞こえる。
声「どうしたの、久しぶりじゃない・・・元気だった?」
拓郎「ゴハンでも食べないかと思って」
声「まあ、うれしいわあ」
拓郎「でも、大きなイシダイが釣れてて」
声「だったら、うちにおいでよ。捌いて食べちゃってもいいし、ゆっくりできるから」
拓郎「・・・わかった、了解」
声「だいたい何時ごろになる?」
拓郎が腕時計を見て、
「日が暮れる前には行けると思う」
声「OK・・・お風呂沸かしとくからね」
拓郎「・・・ありがとう」
声「じゃあね」
といって、葉子が電話を切る。
拓郎「やっぱりなあ」
とつぶやくように言い、腕時計を見る。
船のエンジン音が小さくなり、静寂の中、腕時計の時を刻む音が大きくなる。

       END


ケータイ用動画を意識して書いたけど、書きっぱなしになっている。

まあ、何とかしたいとの思いです。

posted by 映画プロデューサー at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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