2006年01月16日

13、酒呑童子の腕

満月の夜、外道丸は犬丸と猿丸に誘われて久しぶりに都に出た。

村を作るために必要な品物をそろえるのが一応の名目だが、犬丸や猿丸は河原に住む傀儡子の女が目的であり、外道丸は一思いに頼光たちをやっつけてしまえないまでも、その後の様子は確かめておかねばならなかった。

そしてこの満月の夜、先に述べた般若の女が率いる覆面の一団が洛外の宿で碓井貞光の一行を殺害し、道鬼の一団が熊が瀬を目指して疾風のように走っていた。

外道丸は、一人で頼光邸に進入した。

頼光邸はかがり火がたかれ大勢の兵が見張りに立っているものの閑散とした様子で、外道丸は難なく忍び込んで天井裏から頼光の部屋に降り立った。

頼光は、一人でうなされながら眠っていた。

外道丸が山刀を抜き、びっしょりと寝汗を書いた頼光の首筋に刃を当てようとすると、喘ぐようなうわごとが聞こえた。

頼光「やめろ、綱。もう熊が瀬の者には構うな、きゃつらはわれらと異なる世界に住んでおる・・・綱、もうやめろ」

外道丸は、やつれ果てて幽鬼のようになった頼光を見ていると、生みの親と育ての親を殺された過去があるとはいえども、どうしても首をとる気になれなくて山刀を鞘におさめてその場を立ち去ろうとした・・・その時、

「綱、わしの言うことが聞けぬのか!」と叫んで、突然目を覚ました頼光が跳ね起き、枕もとの太刀を取り抜き打ちに様に刀を横に払った。


あっという間の出来事で、外道丸の左腕が付け根から切断されて血が噴出した。

「綱め、綱め!」と叫びながらなおも斬りつけてくる頼光の首を、外道丸が山刀で一閃すると首が襖をつき抜けて飛んでいった。

そして首を失った頼光の身体は、騒ぎを聞きつけて駆けつけた家臣どもに向っていつまでも太刀を振るいまくった。
posted by 映画プロデューサー at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒呑童子ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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