頼光たちが金山のことをまだどうしていいか考えあぐねているとき、外道丸に率いられた一団が、頼光の私兵がかがり火をたいて警護する関白邸に乱入した。
外道丸たちは、その兵たちを蹴散らしながら牛を邸内に追い込み、頼光どもが盗んだ二千両を返しにきたと呼ばわった。
そして、この一団はかがり火で松明に火をつけると、そのまま頼光邸に馬を向け、火のついた松明を邸内に投げ込みそのまま逃走してしまった。
頼光と綱は、何事が起こったのかと火が燃える庭に出ると、関白邸で警護にあたっていた兵が駆け戻ってきた。
その兵の報告を聞いて、頼光は気が遠くなるようであった。
一方、勅命を受けて酒呑童子討伐に赴いた数千人に及ぶ金時軍は山中に陣を張って、まだあけやらぬ早朝から数組の物見を出して熊が瀬の者を探索していた。
山中にはいたるところに罠が仕掛けられて、林や竹薮の中から突然毒矢が飛んできて何人もの兵を殺傷したが、多勢に無勢というより精鋭の兵が下人どもを誅殺するという図式に変わりはなかった。
金時軍は、山中深く進んでいった。
そして、やっとのことで金時は、渓谷を流れるせせらぎに浮かんだ数艘の笹舟から、目指す相手が上流の滝のあたりにいることを発見した。
同日、朝から頼光は綱に代筆させて関白にお目通りのお願いを出したが、重臣によって冷たくはねつけられていた。
その夕方、夏の西日を受けた頼光は、床几に座ってうたた寝をしながら恐ろしい夢を見ていた。
血に塗れた赤子が、牙をむいて頼光に襲いかかってくる夢だった。
そこに、綱がやってきてうなされている頼光を起こそうとした。
すると、頼光は突然太刀を抜き放って綱に斬りかかった。
そして、勢い余って床で足を滑らせ、したたかに腰を打って、頼光は夢から覚めた。
綱が床にひっくり返った頼光を抱え起こし、外道丸と熊が瀬の者に騙された金時軍が深い渓谷に誘い込まれ、崖の上から無数の岩石と竹槍を落とされて、金時軍がほぼ全滅したと告げた。
再び、頼光の意識が朦朧としてきた。



