2006年01月16日

7、頼光邸を襲った怪物

外道丸たちの牛車が市場ののある賑やかな通りにさしかかったとき、正義感にあふれる検非違使火長・坂上次郎(悲惨な運命をたどり、最後まで物語に登場する)が、何を思ったか外道丸が乗る牛車を怪しいと睨んで、今にも取調べをはじめそうな雰囲気になった。

犬丸と猿丸が気取られぬようにやり過ごしてほっとしたと思ったら、次郎はどこまでもしつこく尾行し始めた。

しばらくそのまま行くと、今度は犬丸がまた何を思ったか突然頼光邸の中に牛を追っていった。

犬丸がかるく手を上げて挨拶すると、門を守る雑色が手を上げて挨拶を返し、牛車は難なく頼光邸の中へ入っていった。

そして、次郎は雑色に何事かを訊ねてそのまま立ち去っていった。

その牛車は、頼光邸に住む大納言藤原道綱(関白道長の実弟で、頼光の娘の夫であり、ずっと頼光邸に住んでいる)の実家の者が乗っていた牛車で、犬丸たちが盗んだものであった。

頼光邸の雑色は、それが大納言の実家の牛車だと走っていても、それが盗まれたとは知らなかったのだ。

また、検非違使の次郎は以前、犬丸たちとその牛車を偶然目撃していたのだが・・・。

こうして外道丸たちは頼光邸に入りこんだ。

外道丸の行動は、獰猛な肉食獣のように俊敏で乱暴である。

女装したままの姿で外道丸は犬丸と猿丸を連れてまず頼光の部屋に押し入り、飾ってある南蛮人から獲った戦利品の鎧兜(冒頭のパレードで頼光が身につけていたもの)や刀剣などを獲り返し、またりゅうに送るべき美しい衣装などを片端から略奪し、ようやく賊の進入に気づいた雑色などが駆けつけた頃には馬を奪って逃走しようとしていた。

雑色や下部たちを蹴散らして中庭に出たとき、ちょうど頼光と渡辺綱が戻ってくるのと出くわした。

頼光は信じられない光景に呆然となる。

さすがに綱は勇猛高い歴戦の武士で、たちまち外道丸らと斬り合いになるが、戦いのルールを無視した犬丸と猿丸の攻撃にたじたじである。

そして、外道丸が熊でも斬り捨ててしまいそうな山刀を軽々と振り回しながら、「さあ、ここらで退散するぞ!」と二人に声をかけ、頼光に向って襲いかかりそのまま邸内から逃走した。

綱が馬を下りて、地面にうっぷした頼光の元に駆け寄った。

頼光は馬から落馬して、危うく一命を取り止めたのだった。
posted by 映画プロデューサー at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒呑童子ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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