2006年01月16日

6、はじめての京の都

外道丸がはじめて京の都に出たのは、犬丸と猿丸に出会ってすぐのことだった。

それまでにも、今日の街を見てみたいという気持ちもあり何度か出かけてみようとしたが、人目に立ちすぎる自分の姿を思うと、なかなか出かけていく気にならなかった。

ところが、犬丸と猿丸にかかると、外道丸が気にしていることがすべて簡単に片付いた。

外道丸たちは都の近くまでは馬で飛ばし、そこからは輿のある牛車で行った。

この頃、紫式部が藤原道長をモデルにしたとも言われる『源氏物語』を発表し、関白道長が全盛時代の反面、毎年のように飢饉は慢性化し、全国的に疱瘡など疫病が蔓延し、京の都はあちこちに行き倒れやその腐乱した死体が悪臭を放ち、さまざまな恐ろしい怨霊流言蜚語が飛び交い、夜盗偸盗柱頭の類が横行し治安風紀は乱れ、都を守るべく検非違使までもが盗賊(犬丸や猿丸たち)に襲われ、ますます頼光たち武家集団は勢力を拡大しつつあった。

頼光は、道長の土御門邸完成の祝いに莫大な贈り物を献上し、当然のように道長がかの有名な望月の歌を読んだ酒宴にも他の貴族と同じような化粧を施して参加し、若い夜盗に襲われた検非違使をあざ笑い着々と武家の基盤を作っていた。

外道丸たちの牛車は、どこかの女御が都を見物するように、街中をゆっくりと通っていた。

犬丸が牛飼童になり御者席に座り、牛車の後ろには荷を担いだ猿丸が下部に扮して従い、輿には女装した外道丸が艶っぽい衣かつぎを被って乗り、御簾の陰から外の景色を珍しげに覗いていた。

そして外道丸は、はじめて都に出た日に、白昼堂々、ひょんなことから頼光邸に乗りこむことになり、頼光たちと運命的とも言える出会い(再開)をしてしまう。
posted by 映画プロデューサー at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒呑童子ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。