2006年01月16日

5、アングロサクソンの恋人と仲間たち

熊が瀬の者たちは山中生活に逃げ込んでも、頼光たちの執拗な追跡からなかなか逃げることはできなかった。

都の市場で竹製品や毛皮などを商っていた者が、頼光たちの要請を受けた検非違使に拘束され罪人として金山に送り込まれたり、逃げようとして惨殺されたりした。

また、金時たちが狩りをしているとき、蜜を取る蜂の世話をしていた女が見つかり、外道丸の育ての母親たきをはじめ何人もの女たちが狩りの餌食となって殺された。

このような状況下で、外道丸は熊が瀬の者として育てられ、森の中を自由に駆け回り狩りをしながらすくすくと育った。

長じてからは単身丹波の山奥に入り乱破道宗のもとで文武両道を学び、いつしかアングロサクソン的体格と風貌を際立たせながらたくましい若者に成長していった。

また、外道丸は人並み優れた肉体と知恵を持ちながら、言うなればコンプレックスを持って成長した。

熊が瀬の者や丹波の乱破道宗は同州のところでは、分け隔てなく人並みに扱ってくれるが、世間一般の人が自分のことをどう見るか容易に想像できた。

成長するにつれて外道丸は、その民族的特徴が著しく顕著となり、六尺を優に超える体躯と彫りの深い顔に青い目を持ち、頭と白い肌には赤い剛毛が密生するようになり、当時の一般的な日本人と比べるとその姿はまるで鬼であった。

そんな外道丸にも、やがて恋人と友達ができる。

恋人は、海の側に住むりゅうという名前の貧しい漁師の娘である。

季節ごとに、山人である熊が瀬の者は山の幸(箕などの竹製品、毛皮などの革製品、猪や鹿などの獣肉、蜜など)を担いで若狭の海に出かけ、海人と海の幸(魚介類の干物、干した海藻、日用品など)を交換する。

そこで巨大な大蛸を通して知り合ったりゅうと外道丸はその後結婚することになるが、後に酒呑童子が攫ったといわれることにもなる美しい娘である。

友達は、犬丸と猿丸という名前の若い牛飼童である。

犬丸と猿丸の二人は、些細な乱闘事件に巻き込まれたことから罪人となり、頼光の金山で労役に処せられていたが、過酷な条件で死ぬまで働かされることを知り脱走したという若者である。

多少無頼の気があった牛飼童に過ぎなかった二人は、頼光と検非違使に関しては一方ならぬ恨みを持つようになり、いつかこっぴどい目に会わせてやろうと思っていた。

そしてこともあろうに、検非違使寮を襲い馬を盗むという前代未聞の事件を起こし、都に住めなくなって逃走中に外道丸と知り合った。

因習にとらわれず、権力をおちょくり、好きなことをやらかしては喜ぶのが犬丸と猿丸の二人で、その後外道丸とともにこの物語の主役を務め、彼らこそ後に酒呑童子の子分として名をなす茨木童子たちなのである。
posted by 映画プロデューサー at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒呑童子ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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