2009年04月15日

映像コンテンツ業界のヒエラルキー(4)

ずいぶん昔、ある若者がオートレーサーになるまでのビデオ・ドラマを製作したことがある。

まあ有名なクライアントがいて、大手広告代理店Dが大手映画会社Tの事業部に発注し、その下請けを依頼された製作プロの仕事を孫請け(ひ孫請けか?)したのだった。

強がりではなく、そのときはこちらのメインの仕事をスムースに運ぶために、やってあげたほうがよかったからだった。

申し入れをすると、意外にも下請けの製作プロは喜んでくれて、製作のすべてをまかされた。

1時間もので、うちの会社に支払われる製作費は1000万円で、トータル800万円で製作して納品したと記憶している。

映画製作と比べるとすごい楽な仕事だった。

撮影中に現場にやってきた下請け製作プロの社長は、たまたま多少大掛かりな(映画ではへでもないのだが)撮影をやっていたときで、僕の耳元に口を寄せて「こんな撮影やって大丈夫なの?」と言った。

若い僕は、その社長が言っている意味がよくわからずに、「まあ、何とかなるでしょう」といい加減意に答えた。

クライアントの評判も悪くはなく、楽にランニングコストを稼ぐことができたし、利益まで出たのだから万々歳の仕事だった。

後で、大手映画会社T事業部のYさんにその話をしたら、「フン、フン」と鼻で笑われた。

Yさんは明確には言わないが、大手映画会社T事業部から関連会社のS社を通して下請け製作プロに行った仕事だったようだ。

僕らはひ孫請けよりもう一段階下の仕事をして、散々マージンを引かれた仕事をさせられて、「楽で美味しい仕事だった」と喜んでいたのだった。

まあ、情けないと言えば情けないし、無邪気と言えば無邪気、よい時代だったと言えばそうだしである。

最近聞いた話だが、大手広告代理店→大手製作会社→関連会社の製作プロ→孫請け製作プロというヒエラルキーがまったく崩れていて、大手広告代理店→関連製作会社とかクライアント→孫請け製作プロなど、これまでなかった力関係の世界になっているらしい。

だが、下克上の世界ではないらしい。

余力がある豊かで大きいものが、余力がない雑多な弱小を淘汰するために、生き残りをかけて消耗戦に持ち込んでいるという話らしい。

テレビキー局の製作部が、自社と関係がないケータイ動画配信会社のコンテンツ製作を直に受ける話とかも聞く。

また、小さな弱小製作プロが直にナショナルクライアントに掛け合って枠を確保しようとする動きも目立つが、テレビ局の営業をロハで助けているとしか見えず、映像コンテンツ業界のヒエラルキーの中抜きがはじまっているのかもしれないと思う今日この頃であった。


posted by 映画プロデューサー at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 聞かれちゃいけない独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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